名古屋市文化基金事業/ファン・デ・ナゴヤ美術展2007

他者のまなざし、他者へのまなざし
―視線からつくられる私―

現代社会に生きる私たちの多くは、心の闇を抱えているといわれています。その要因のひとつに、私たちが日常のさまざまな局面で「いまここに自分がいること」を実感できないことが関わっていると考えられます。

こうした状況を背景として、本展は他者のものの見え方や捉え方、他者に見られる自分や他者の中にいる自分を、作品を見るという行為をとおして感じてもらおうとするものです。こうした体験をとおして、来場者が自分と自分を取り巻く世界との関係を捉えなおし、他者との関係性の中で自分が日々つくられていることを、そして「いまここに自分がいること」を実感できる機会をつくることをねらいとしています。

会期中には、本展の背景となっている社会状況や私たちの心の闇について精神科医の香山リカさんにお話しいただくことにより、本展や作品の理解をより深める機会としていきます。

ぜひご高覧いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

企画 田中由紀子